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「協業」と「オープンイノベーション」は違う

2022.3.28

取り組み事例 Vol.3 VAIO株式会社さま

NAGANO-OIC2021

「協業」と「オープンイノベーション」は違う

長野県内の企業と日本全国のスタートアップ企業の共創をうながし、新たな価値を生み出す「NAGANO-OIC」が2021年よりスタートしました。この記事では、初年度にプロジェクトに参加したVAIO株式会社さまのお取り組みをご紹介します。

VAIO株式会社は、ソニーが手掛けるPC事業がスピンアウトする形で2014年に生まれました。以前は一般消費者向けのノートPCを中心にサービス展開していましたが、現在は法人向けノートPCの生産が主です。最近では、PCそのものの開発だけでなく、PCを中心に、その周りにある様々な課題解決にも取り組み始めています。

今回は、ITソリューションセンターのセンター長の安藤 徹次 さまにお話を伺いました。

VAIO株式会社

安藤 徹次

「協業」と「オープンイノベーション」は違う

VAIOといえば、PCのブランドとして確固たる地位を築いているかと思います。そういった会社が、なぜ今あらためてオープンイノベーションに取り組み始めたのでしょうか。

安藤

PCを開発するという意味では、ソニー時代から今に至るまで、様々な企業と協業をしてきました。もともと、社外の方たちと手を取り合う土壌はあるのです。

そんなVAIOが改めてオープンイノベーションに取り組む背景にあるのは、コロナ禍や価値観の変化による働き方の変化です。PCの利用シーンも変わる中で、その周りには色々な課題が新たに生まれているのではないかと考え始めたのがきっかけです。。それらの課題に踏み込んで解決していくには、VAIOだけでなく様々な課題と向き合っているスタートアップのみなさんとのオープンイノベーションを実施することが効果的なのではないかと考えました。

安藤さまは、個体認証を利用した新しいリモートアクセスサービスである「ソコワク」のビジネスプロデューサーでもありますね。これも、同じような想いから生まれたのでしょうか。

安藤

そうです。私自身、2年半前まではPCのソフトウェアを設計していました。そこから、「今後はPCそのものだけでなく、その周りにある課題にも目を向けていこう」ということになって、2020年11月に「ソコワク」が生まれました。その流れで、今はITソリューションセンターのセンター長も兼任しています。

リモートワーク時代ならではの課題解決を

今回の「NAGANO-OIC」ではどのようなご提案が集まりましたか。

安藤

VAIOは、PCを通して優れたユーザー体験を提供することを使命としていますが、今回のオープンイノベーションでは、「PCを使う空間で、人々により優れた体験を提供したい」というテーマで募集をかけて、様々なご提案をいただきました。たとえば、病院を経営している方が企画した腰痛を解決する椅子の開発であったり、環境に配慮した取り組みであったり、デジタルに関係があるものからないものまで、想像以上に広い範囲でご提案をいただきました。私自身もチームのメンバーも、非常にポジティブに受け止めました。

それらの中から、どのようなスタートアップと何を取り組むことになったのですか。

安藤

サービスの開発に取り組むことになりました。ハイブリットワークの時代に、セキュリティ対策は欠かせません。先ほどお話した「ソコワク」は通信のセキュリティを守るサービスですが、移動中にPCを物理的になくしてしまう可能性もあります。そういったときに紛失したPCの位置情報をしらべることができたり、特定の場所から許可なくPCが移動されたら警告が上がるなどのサービスを検討している最中です。

オープンイノベーションは挑戦を加速させる

実際に取り組まれて、改めてオープンイノベーション活動についてどう思われますか。

安藤

課題に対して真剣に向き合っていても、自分たちだけでは考えが及ばないところがどうしても出てきます。また、考え方の幅も広がりません。VAIO以外からの指摘や提案をいただくことで、相互の技術連携による新たな価値創造や顧客の課題解決につながると感じました。

逆に、やりにくさや大変だった点はあったのでしょうか。

安藤

特に困っているというわけではないのですが、このプロジェクト以外にも通常の業務も抱えているので忙しいというのはあります。特にスタートアップ企業さんはコミュニケーションの速度が速いので。本業もある中で、どう新しい価値を生み出していくかというのは課題のひとつですね。でも、知らない価値や技術に触れられて非常に刺激になっています。

最後に、これからオープンイノベーションに取り組む企業に対してメッセージをお願いします。

安藤

すでに共創経験がある企業さんであっても、本業とは全く違う課題を解決するのであれば、全く違ったアプローチや、それまでにない企業との取り組みが必要だと思います。オープンイノベーションの取り組みは、新しいことに挑戦する企業にとって、必ずプラスにつながると思います。

我々VAIOは、これからもPCを通じてビジネスの生産性を高めることで、企業活動を支えていきます。ブランド名は通っているかもしれませんが、我々自身も挑戦者です。オープンなマインドで、様々な方たちと手を取り合って行きたいと思います。