2022.3.28
取り組み事例 Vol.2 長野朝日放送株式会社さま
NAGANO-OIC2021
正しい情報循環でウェルビーイングな社会に貢献したい
長野県内の企業と日本全国のスタートアップ企業の共創をうながし、新たな価値を生み出す「NAGANO-OIC」が2021年よりスタートしました。この記事では、初年度にプロジェクトに参加した長野朝日放送株式会社さまのお取り組みをご紹介します。
長野朝日放送株式会社は、長野県内を放送エリアとするテレビ朝日系列の放送局です。キー局からの番組を放送するだけでなく、長野県内にスポットを当てた自社制作番組の放送、社会課題や地域課題、SDGsなどの啓蒙・情報発信に務め、「長野県で一番愛されるテレビ局になる」を目標に、地域のみなさんにとって本当に役立つ情報を発信し続けています。
今回は、取締役 兼 信州元気プロジェクト本部長の五十嵐 洋人さまにお話を伺いました。
正しい情報循環でウェルビーイングな社会に貢献したい
今回、「NAGANO-OIC 2021」にご応募いただきましたが、応募にあたってどのような課題感をお持ちだったのでしょうか。
五十嵐
これは当社に限ったことではないかと思いますが、多くのローカルテレビ局はこれからの時代に求められる放送局のあり方を模索して、新規事業の立ち上げやデジタルトランスフォーメーションを推進している最中です。しかし、社内だけでは人材もアイディアも技術も足りません。そういった閉塞感を打破して新しいアイディアを生み出したり人材を育成したりしたいという思いから、オープンイノベーションに取り組むことになりました。
どのようなローカルテレビ局を目指しているのでしょうか。
五十嵐
「地域における情報の循環」こそ地域メディアの役割だと考えています。情報過多な時代において、正しい情報の循環を起こせば、ウェルビーイングな社会につながると思います。正しい情報が正しく循環することで地域が活性化したら、人々のウェルビーイングにつながるはずです。この役割は、地域に根付いた地元メディアが目指すものです。そのために様々なスタートアップと手を取り合って行きたいと思っています。
想像を超える提案に刺激を受ける
スタートアップ企業からはどのような提案が集まりましたか。
五十嵐
テレビ局ということで、映像や情報をテーマにした提案、アプリの提案、インバウンドを意識した提案など、様々なご提案を全国のスタートアップからいただきました。自社では思いつかないものばかりで、新鮮な気持ちになりました。
その中から、実現に向けて動き出しているプロジェクトはあるのでしょうか。
五十嵐
ふたつありまして、ひとつは感情の見える化によるコンテンツ作りです。視聴者の表情や心拍データなどの生体データを測定することで、コンテンツに対して集中しているかなどを推測することが出来ます。これをコンテンツ作りに活かしていきたいと思います。こちらはすでに実証実験も開始しています。
もうひとつはメタバース関連です。今は移動に制約がかかりやすい時代ですが、自分では目的地に行けなくても、現地にいる人にお願いして、まるで旅しているような体験ができるサービスを想定しています。ちょうど2022年は7年に1回の善光寺の御開帳の年でして、例年ですと約700万人が参拝に訪れます。観光のモデルコースを歩いたバーチャル観光動画を自社アプリで発信することで長野の魅力に触れてもらったり、のちのち長野に来るきっかけになったりすればと思います。長野は冬季五輪開催地であることや、日本アルプスをはじめ豊かな自然に恵まれているということで、実は世界的に有名な地域なんです。長野の魅力を地元だけじゃなく全世界に届けたいです。
オープンイノベーションは「共創」と「共奏」の掛け合わせ
実際に取り組みをスタートして、改めてオープンイノベーションについてどのような想いを抱かれましたか。
五十嵐
様々な課題やニーズに応えうる素晴らしい取り組みだと思いました。今回実証実験に進んだのは2社だけですが、それだけにこだわらずに色々な取り組みを進めたいと思います。また、実際に取り組むことで加速度的に物事が進んでいく経験をしました。新しい価値の創造はやってみないとわからないことばかりなので、取り組むこと自体に価値があると思います。
最後に、これからオープンイノベーションを検討している企業に向けてメッセージをお願いします。
五十嵐
行き先が不透明で、これまでの経験値では予測できないことが起きる時代になっています。この時代を生き抜くには、新しい発想やチャレンジする柔軟な姿勢が大切かと思います。NAGANO-OICのような取り組みを活用することは、現状の閉塞感を打破するきっかけとなるでしょう。様々な企業が、人の豊かな暮らしや地域や社会の課題に目を向けて行けば、企業同士の共創・連携が加速して、社会全体がウェルビーイングなものになると思います。
オープンイノベーションを進めるには共に創る「共創」と、共に奏でる「共奏」、この2つの掛け合わせが重要です。これまでにご縁がなかったスタートアップ企業のみなさまと、共に創り奏でる仲間として手を取り合うことが大切だと思います。